漆の話

漆の木と樹液
漆芸はウルシ科漆属の木から取れる樹液を原材料にして制作される藝術です。漆液の取れる漆の木は東南アジアを中心に植性しています。主成分がウルシオール、ラッコール、チチオールと分類され、中国、韓国、日本は同じウルシーオール系の木から採取しています。
日本は東北地方に多く植生し、光合成が盛んになる6月半ばから、9月中にかけて木の幹に傷をつけて採取します。日本の場合は殺し掻き法が一般的で、約15年位育てた木はその年で命を終わり、その一年間で約200グラム採取できます。地下埋蔵化石を成分にしている化学塗料と違って、15年で再生産できるのです。
漆の固化
固化する条件として、20~25度の温度、65~80パーセントの湿度を必要とします。ラッカーゼという酵素が空気中の酸素と共に、漆の主成分を酸化重合させていくのです。漆室(ウルシムロ)、漆風呂(ウルシフロ)といって、ほこりの入らない密閉した木の箱の中を、温湿度を管理して、塗り上げた物を入れておきます。通常は一昼夜で固化をします。
この一度固化した塗膜は、塩酸、硝酸、硫酸、アルカリ、煙草の火などの熱などによって壊されることはありません。紫外線には弱いのですが、土の中に埋もれてしまうと、何時までもその美は変わりません。日本では約9000年前の、朱色の漆を使った繊維が北海道の南茅部垣ノ島遺跡から出土されています。
漆の特徴
漆塗膜は強く、何にでも接着をします。縄文の昔から、矢尻と矢柄、割れた土器の接着などに使われてきました。また土器の内外を塗る塗料としても使われています。漆液の中に墨を入れると黒色、紅柄や水銀朱を入れると赤色の漆塗膜ができます。縄文の遺跡からは朱と黒で渦が描かれた土器がたくさん出てきます。また木粉と漆を混ぜると造形素材としても使えます。縄文の櫛などはこの素材で造形的な形を作り出しているものがたくさん見られます。
漆は接着剤、塗料、絵の具、造形素材としての4つの役割を持っています。